お米の輸出は難しいのではないでしょうか?
お米は多くの国で食されている重要な食品ですが、他国へ輸出することは、いくつかの課題を伴います。お米は多くの国で食されている重要な食品ですが、他国へ輸出することは、いくつかの課題を伴います。
1. 輸出入規制
政治的には、自国の国民の食料の確保を図るための輸出規制や自国の農業者の生産農産物の販売や価格の安定を図るための関税(輸入時の課税制度)等の輸入規制が主な事例になります。
また、衛生・安全面では、輸入国の国民の健康維持のための法律(日本の食品衛生法や食品表示法など)の規定条件と自国の農産物に害虫や菌などの悪影響の原因となるものを水際で抑止する動物・植物の検疫検査制度があります。お米の輸出に際してもこれらの法令と規制をしっかり理解する必要があります。
2. 物流と品質管理
お米は品質を維持する必要がある食品であり、輸送中の品質劣化は問題です。また、適切な梱包と輸送手段を選択することも重要です。
お米はまわりの環境による品質への影響を受けやすい食品であり、 適切な輸送手段や保管環境を選択し、湿度と温度、他商品の臭いなど問題はないか、輸送に要する期間はどの程度となるかなどの条件を踏まえ、保管環境、輸送コンテナの調達、適切な梱包、お米の種類に応じた輸送方法の選択などの知識がお米の品質を維持するために必要となります。
3. 市場アクセス
他の国からもお米が輸出されており、激しい競争環境にあります。また、現地市場にアクセスする際に文化的な違いや、言語の違い、足しげく通い、直接顔を合わせられない距離の問題もあります。
4. 輸出コストと価格競争
輸出には国内でのコストに加え、さらに海外に輸送するコスト、輸出入通関コスト、検疫検査費用などが加わり、価格競争面で不利となることがあります。
5. 取組マインド
以上のように、お米の輸出には、多くの課題があります。このため、これらの課題解決の方策に至らずに無理だとあきらめることが多くみられます。
おそらく、日本の多くの中小企業において、輸出を販売チャネルとして選択していない要因の最大の原因が、このむずかしい、自社では無理と考える消極的マインドの課題です。
6. 最後に
一方で、輸出には、新たな市場を開拓し、特にお米を生産する地方にとって地域経済に貢献する可能性があります。
確かに、多くの法・規制ルールを知り、多くの課題解決に向けた環境整備し、未知の世界への営業を進め、多くの時間を要することになりますが、人口減少を続ける国内販売のみに視点を置くのか、人口100億時代を迎えようとする世界市場を視野に入れるのかは、もはや自明の論理です。
各国の法・規制ルールなんて難しくてという場合には、国や府県の行政支援のほか、JETRO、商工会議所、中小企業基盤整備機構(中小機構)、政策金融公庫や銀行等金融機関など多くの組織機関や団体のアドバイスを得るという途が開かれています。現に、弊社国際部は、これらの様々なアドバイスを得て輸出業務をスタートさせました。
米のみでなく、日本の商品は、世界の人々にとって多くの魅力を孕んでいます。現に多くの外国人がインバウンドとして日本を訪れています。この好機を逃さずチャレンジすることこそが、日本のビジネスの新たな生き残り戦略ではないでしょうか。