お米の品質について
今回は、お米の品質についてご紹介します。
世界では、合計約5億トンの米生産がされている中で、日本で生産されるお米は、約800万トンとわずか1.6%に過ぎません。
しかし、約2,000年に亘る日本独特の主食としての米食文化の中で、味、香り、食感、つや、粘りといった非常にセンシティブなこだわりの食品となりました。
その中で、
「海外のお米には賞味期限が表示されているが、日本のお米には、表示されていないのはなぜか?」
とご質問をいただくことがあります。
これは、先に述べたように、日本では非常に繊細な評価を受ける食品のため、お米は生鮮食品として流通しており、野菜や肉、魚介類と同じように産地(水揚げ地)や加工時期(お米は精米時期(加工しない野菜は表示義務なし))の表示は義務化されていますが賞味期限表示は、義務付けられていません。
要すれば、お求めいただいた後、極力新鮮なうちに消費頂くことをお願いしております。
また、海外では、
「でも、お米は長く保存しても腐らないし、見た目の変化はないから賞味期限の表示が必要なのでは?」
とのご質問もいただきますが、
玄米の状態では、お米は主に亜糊層(複数の層であり、最後の精米表面の肌ぬかと呼ばれる部分が一部精米に残るため、家庭での洗米が必要になります)、ロウ層、表皮に守られ、流通段階では、定温定湿(温度:15℃以下、湿度:70%程度)の環境で、生きている状態で保管されていますが、精米は、各層(いわゆるぬか)が除かれ、どんどん品質は劣化していきます。
この時、最初に変化するのが、香り(ごはんを炊いた時の独特のたおやかな香り)がなくなり、その後お米に含まれるわずかな油分が酸化し、いわゆる古米臭(日本人にとっては異臭ですが一部の海外地域では、ナッツ、穀物の香りとして好まれることもあるそうです。)が生じます。その後お米の表面の色が、うす茶色→黄色→茶褐色と変化します。
ならば、
「長く保管したお米は食べられないのか?」
と言うと、水分が減り、香りがなくなり色も着いてくる状態(半年~1年経過)になりますので、一般的なごはんとして食するのはおすすめしませんが、チャーハン、パエリア、ドリア、リゾットのような、炒める、焼く、煮るという工程がある料理には、むしろ向くのかも知れません。
次に一般的なお米の保存方法については、一般的なお米の袋は、有孔袋(空気が抜ける穴がある)と呼ばれ、重い精米商品を積み上げても袋が破れないようになっており、ご購入後、そのままで保存することは、おすすめできません。
早く(1~2か月程度)消費いただければ良いのですが、できれば、密封容器(ジップバッグのような)に移し、冷蔵庫(野菜室)での保管をおすすめします。(それでも半年程度で消費することをおすすめします。)
また、真空包装や窒素充填商品もありますが、これらは、開封しない前提で1年や9カ月の賞味期限を記載していますが、未開封でも保管する環境により、高温、日なたの環境では、劣化が進むと言われていますので、前述の保管方法をお試しいただければと思います。
最後に、海外でのお米の品質への関心についてご紹介します。
海外では、国・地域によりますが、食品には概ね賞味期限の表示が義務付けられており、お米もその対象であり、弊社では海外輸出向け商品には、賞味期限を表示します。
その際、購入者であり輸入者であるお客様と協議し、日本のお米の賞味期限は、社会的常識により1~2か月とされており、これを超えると日本産米の微妙な香りなどがなくなったり、変化するためとの説明を行っております。
これに対し、海外では、米は小麦粉や乾燥種子と同じ穀物として1年程度の賞味期限は一般的との認識が多いことや輸入するための海上輸送に1~2か月を要することもあり、1年の賞味期限が求められます。
このような場合には、海外の現地や販売後の保管状況が不明であることから、購入者または輸入者の責任による賞味期限表示とすることを前提に1年の賞味期限表示を行っております。これは、購入側の話では、海外の消費者は、日本産米特有の微妙な香りや甘みはわかりずらいことや、普通1年もたたずに消費するか捨てることになるので問題はないとのことでした。
海外で住まわれている日本人や日本産米の香りや微妙な味わいを好まれる方は、極力賞味期限まで十分猶予のある商品をお選びいただくことをお勧めします。
作成者:営業第三部 グェン